大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和29(オ)933 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

約束手形のようないわゆる形式証券においては受取人の記載として取引上株式会

社と認むべき商号あるを以て足りるものと解するを相当とするから、原判決が本件

手形の振出当時受取人として実際には存在しないD工業株式会社と記載したのを手

形要件としての受取人の記載には何ら欠くるところがないと判示したのは正当であ

つて、論旨第一点は、その理由がなく、また、右のごとき記載が手形要件の受取人

の記載として欠くるところない以上右D工業株式会社名義の次行に記載された「代

表E殿」の記載はその記載者の如何、その記載権限の有無等に係りなく、本件手形

の振出の効力には何等影響を及ぼすものではなく且つ右Eが「D工業株式会社の代

表者」として同会社名義を以て本件手形の第一裏書欄に裏書をなしていることは原

審の確定するところであるから裏書の連続にも欠くるところがないものとした原判

決の判示は正当であつて、論旨第二点もその理由がない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 岩 松 三 郎

裁判官 入 江 俊 郎

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